2025.09.30
マグネットシートの等方性と異方性の違いとは?用途に合わせた選び方のポイント

マグネットシートは、車両広告や店舗看板、販促ツールなど幅広いシーンで活用されている便利な素材です。一見するとどれも同じように見えますが、実は「等方性」と「異方性」という2つの種類に大別されます。この違いを理解しておくことで、用途に最適なマグネットシートを選び、より安全で効果的に使用することができます。今回は、等方性と異方性の特徴や違い、そして選び方のポイントについて詳しく解説します。
等方性マグネットシートとは?
等方性(とうほうせい)マグネットシートとは、磁力の方向が均一に分布しているタイプのシートを指します。製造工程で特定の方向に磁力を集中させる処理を行っていないため、全体的に磁力が弱く、どの方向に対しても均一な磁力を持つのが特徴です。
- 磁力の強さ:弱い
- 加工性:柔らかく、はさみやカッターで簡単に切れる
- 価格:比較的安価
- 主な用途:冷蔵庫に貼るマグネット、販促用ノベルティ、メモ用マグネットなど
等方性マグネットシートは、磁力の強さよりも加工のしやすさやコストの安さが重視されるシーンに向いています。軽量物を固定したり、短期間の掲示物を作るのに適しているため、家庭用やオフィスの文房具としてよく使われています。

異方性マグネットシートとは?
異方性(いほうせい)マグネットシートは、製造時に特定の方向に磁力を集中させて強化したタイプです。磁石の粒子を一定方向に整列させることで、等方性に比べて2〜3倍以上の磁力を発揮します。そのため、屋外や車両など磁力の強さが求められる用途に最適です。
- 磁力の強さ:強力
- 加工性:やや硬く、自由形状の加工は専用機械が必要
- 価格:等方性より高価
- 主な用途:車両用マグネットシート、屋外用看板、スチール壁面への大型掲示物など
異方性マグネットシートは、走行中の車両に貼っても剥がれにくい強力な磁力があり、耐候性の高い印刷面と組み合わせることで長期間の屋外使用にも耐えることができます。

等方性と異方性の比較表
| 特徴 | 等方性マグネットシート | 異方性マグネットシート |
|---|---|---|
| 磁力 | 弱い(均一に分布) | 強力(特定方向に集中) |
| 加工性 | 高い(はさみで簡単に切れる) | 低め(機械加工が必要な場合あり) |
| 価格 | 安価 | 高価 |
| 耐久性 | 室内向き | 屋外向き |
| 主な用途 | ノベルティ、冷蔵庫用、掲示用 | 車両広告、看板、長期使用 |
用途に応じた選び方
マグネットシートを選ぶ際には、どのような場面で使用するかを基準にすることが大切です。
- 短期間の掲示やノベルティなら等方性
例えば展示会で配布する小型マグネットや、室内掲示用のスケジュール表などは等方性で十分対応できます。加工がしやすく、低コストで大量生産できる点もメリットです。 - 車両や屋外看板には異方性
自動車に貼るマグネットステッカーや、店舗外壁に設置する看板には、強力な磁力を持つ異方性が不可欠です。特に走行中の風圧や雨風にさらされる車両用途では、等方性では不十分で剥がれるリスクが高いため、必ず異方性を選ぶことをおすすめします。
よくある誤解と注意点
- 「等方性でも車に使えるのでは?」
一時的に貼ることは可能ですが、走行中に剥がれる危険性が高いため推奨できません。安全性を考慮すれば異方性一択です。 - 「異方性は取り外しにくい?」
強力な磁力を持ちますが、取り外し自体は簡単に行えます。正しく取り扱えば車体を傷つけることもありません。 - 「価格だけで選んでも問題ない?」
コストを抑えるために等方性を選ぶケースもありますが、使用環境に合わなければ結果的にトラブルや再製作のコストがかかる可能性があります。
まとめ
マグネットシートには「等方性」と「異方性」の2種類があり、それぞれに特徴と適した用途があります。等方性は室内向きで低コスト・加工性に優れる一方、異方性は強力な磁力を持ち、車両広告や屋外看板といった本格的な用途に最適です。安全性や耐久性を重視する場合は異方性、手軽さや加工性を重視する場合は等方性と、目的に応じて選ぶことが大切です。
車両用マグネットシートや外壁用看板をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
*当店では原則、異方性マグネットでのマグネットシート製作を専門に行なっていますが、等方性マグネットでも大型出力をご希望の場合は対応しております(ステッカーサイズの小型マグネットシートのは、当店では大量出力向けの体制でないことからお受けできかねます)